〜ビスクドールの作り方〜

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まず、石膏型(モールド)の準備。

オリジナルの場合は、↓のような原型作りからはじめます。

私はラ・ドール粘土を使用。

納得のゆく顔が出来たら、目と甲頭部を粘土でふさぎ、防水スプレーをふりかけてから、

石膏型(モールド)を作ります。

A

石膏型が完成したら、液体の粘土(ポーセリン・スリップ)を流し込み、型取り。

粘土に気泡が入ったり、気温により固まり方も違い、それなりに技術と経験が必要です。

最近は、ボディをコンポジション(既成)で仕上げるやり方が多いのですが

私はボディも出来る限りビスクで焼き上げることにこだわっています。

(かなりの労力がプラスとなりますが、出来上がった時の温かな質感は、素晴らしいです。)

特に、大きな人形の胴部分は重くて一人で持ち上げ、作業するのも大変!

逆に小さな人形の手足も、排泥作業がしにくく、難しいです。

私はほぼ独学でしたが、出来るようになるまで、本当にかなりの粘土を無駄にしました・・・。

また、ちゃんと抜けても、小さな衝撃で簡単にひびが入るので、割れることも度々あり、気が抜けません。

B

1週間ほど自然乾燥させ、710度まで4時間ほどかけ、ゆっくり焼き上げます。

一晩かけて冷ましたものが、ソフトファイアリングされたもの。

これを今度は磨きます。型取りの時に出来たバリは、ナイフで取り除きます。

顔は、目の部分を丁寧に切り取りながら、眼球の後ろは丸いやすりのような道具で少しづつ削ります。

この目の作業が、一番神経を使うので、1日に2個くらい仕上げるのがが私は限度です。

C

今度は素焼きの状態から、磁器にするため、約9時間かけて1200度で焼き上げます。

これが、ポーセリンスローファイアリング。

同じく一晩かけて冷まし、翌朝窯を開けると、30%収縮し、

白磁の状態になったパーツが出来上がっています。

これをまた磨き、肌の色を付けます。そしてその色を焼き付けるため、約730度で4時間かけて焼成。

ペイントファイアリング

D

一晩かけてさました肌色の焼き付いたパーツに、睫や下眉、唇等を描いていきますが、

重ねて描く部分もあり、一度には全てを描くことは出来ませんので、

3、4度描くことと710度で窯焼成することを繰り返します。

*この時点で、割れるものもあれば、ひびの見つかるもの、また顔描きの気に入らないものも

出て来ますので、 そうなると、また一からやり直し・・・。

下の画像は、一度目の顔描きが終わって窯に入れる前のもの。少しづつ色を重ね、複雑にしていきますが、

一つの顔が出来上がるまでに、窯入れは5〜6回にもなるのです。

E

ボディのパーツの色付けと焼成も終わり、全てのパーツが揃えば、

手術用のかんしを使って人形を組み立てます。

ゴムは、ビスクドール用の特殊なものなので、大変強くしっかりしています。

組み立て終われば、義眼を入れ、頭をコルクやスチロール球でふさぎますが、

私はボンドで貼り付ける必要の無い、スチロール球をよく使います。

ウィッグを簡単に固定出来る上、もし義眼を入れ替えたくなった時でも、

手軽に甲頭部を開けることが出来ますから・・・。

ウィッグは、ほとんどモヘアや人毛を使い、手作りしますが、

大きめの人形には海外の丁寧に作られたウィッグを使用することもあります。

F

後は、革靴と衣装作り!

大好きな作業!

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