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音楽室

慌しい一日の中での、寛ぎのお茶のひととき。

おいしいお菓子もいいけれど、ときには音楽でもいかが?

一人優雅に耳を傾けるもよし、気の置けない人との楽しいおしゃべりのBGMにするもよし

お茶の時間をいっそう楽しくしてくれること請け合いの音楽の数々を、

ここではお薦めのCDと共にご紹介します。

 

その一:ジョン・ダウランドのリュート曲

 

 「お茶といえば英国、英国といえば……」と安直に考えるうちに、パッと閃きました。最初にご紹介するのは、ジョン・ダウランド(1563-1626)のリュート(ギターの先祖。日本の琵琶も同じ系統の楽器)曲です。ダウランドは英国に生まれ、数多のリュート曲やリュート伴奏歌曲を残した作曲家です。彼は王室付きの楽師になることを願いつつも、最初は宗派の違いからそれが叶えられず、欧州各国を流離います。結局、後にダウランドは英国に帰り、国王付きのリュート奏者となりますが、長年の放浪は、彼の音楽にえもいわれぬメランコリーの翳を落としました。そのつつましい美しさに満ちた調べは決して暗くはなく、むしろ飄々とさえしています。けれども、そこから仄かに香るどこかもの憂げな感じが、ダウランドの音楽に独特の魅力を添えています。

 さて、お薦めのCD(タワーレコードやHMV等のサイトでご確認ください)ですが、

 

『ダウランド リュート曲集』(ユニバーサルミュージック UCCD3260)

 

です。英国古楽界の重鎮アンソニー・ルーリーを中心とする数名のリュート奏者の演奏で、有名な《ラクリメ(涙のパヴァーヌ)》を含む25曲が楽しめます。お買い得な廉価盤なのもうれしいところです。

 

 

(プラスα)

 このコーナーでは、メインの音楽に加えて、それに関連するものを「プラスα」と称してお薦めをすることにしています。

 今回は同じ英国の作曲家、ベンジャミン・ブリテン(1913-76)の《ラクリメ:あるダウランドの歌曲の投影》Op.48です。この曲はダウランドの歌曲に基づく自由な変奏曲で、元々はヴィオラとピアノのために1950年に書かれました。前衛的な音楽がもてはやされた20世紀にあって、ブリテンは古風な作風を貫きとおしましたが、だからといって決して時代に背を向けていたわけではありません。聴きやすい音楽の中にも現代的な表現を盛り込んだ彼の音楽は、いかにも自分のスタイルを崩さない英国紳士ならではのものでしょう。その端正で渋い音楽は、まさにお茶の時間にピッタリです。

 今回お薦めのCDはつぎのものです:

 

『ユーリ・バシュメットの軌跡(BMGBVCC-34086〜87)』

 

です。これはロシアが生んだヴィオラの名手バシュメットの演奏のいいとこ取りをした作品集で、この中にブリテンの曲も収められています。この録音は、ブリテンが死の年につくった、ヴィオラと弦楽合奏のためのヴァージョンによるものですが、実に見事な演奏です。

 

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